人気ブログランキング |

テスト作成終了!そして…

ようやく明日実施のテストができました。

今回は鑑賞中心でルネサンスの線遠近法の発達と絵画技法の変遷を主に。
実技問題は一点透視図法を取り入れての出題です。

それにしてもルネサンスと印象派の絵画の明るさの違いと言ったら。
生徒にも一瞥で理解できるほどの違いがありますよね。


f0008085_165250100.jpg

f0008085_17174020.jpg


今回の授業ではどうしてこのような違いが生じるのかを
技法の進化で解き明かしました。

(もちろん色彩学の発達が印象派にもたらした影響は大きいのですが…。)






さて、ルネサンス初期絵画の多くが壁画でした。
古来から壁に漆喰を塗り、それが乾くまでに
水に溶いた顔料で着色していました。
そう「フレスコ画法」です。

画家達は短時間で絵を仕上げなければなならない
という時間的な制約のなかで描いていたのです。

かの天才彫刻家ミケランジェロは驚異のスピードと決断力との積み重ねで
超大作「天地創造」を4年の歳月をかけて完成させています(1512年)。

その永遠のライバルと言われるダ・ヴィンチのことです。
若きミケランジェロ(当時20才前後)に実力の差を見せつけたかったに違いません。
40歳を過ぎて依頼を受けた「最後の晩餐」(1497年ごろ完成)を
当時布絵や板絵に用いられていた「テンペラ画法」で描くことを決意したのです。

テンペラ画法は、顔料が板に定着するように水とたまごと蓖麻子油が
溶剤として用いられました。
なのでフレスコ画法に比べ数段時間をかけて描くことができました。

ちなみにボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」(1485年ごろ)は
カンヴァスにテンペラで描かれています。
陰影が細かく描写されや皮膚や衣服の質感が豊かに表現されています。

ダ・ヴィンチがとった手法は
始めに無彩色で陰影をつけ、その上から透明な色をのせていく技法。
この方法で人々の表情や細かいしぐさ、着衣の柔らかいひだや器物、
布といった諸々を克明に描いたのです。

完成当初、絶賛を浴びたその傑作ですが、
まもなくトラブルに見舞われます。

本来、板絵に用いられるテンペラ画の絵の具は
壁の湿気を閉じこめてしまいます。

壁と絵の具との間に生じた水分により、
完成後からすぐに絵の具の剥落が始まりました。
f0008085_1659299.jpg

これはダ・ヴィンチの壮大な「失敗」でした。

このころイタリア・ルネサンスの同時期に展開した北方ルネサンスの画家、
ファン・アイク兄弟らが完成したという「油絵の具」がイタリアにももたらされ、
テンペラ画法にとってかわることになります。

かの「モナリザ」(1506年ごろ)はダ・ヴィンチが生涯をかけて描いた油彩画の傑作です。

また油絵はその柔軟性から板だけでなく布にも描かれるようになり、
移動できない壁画から、絵画は売買の対象として大きな転換を果たしました。


それにしてもルネサンス期の絵画と印象派の絵画の明るさの違いは何でしょう。

ではルネサンス期がどんな生活だったか想像してみましょう。
昼なお暗い室内…。夜はろうそくやランプが点されたことでしょう。
モナリザの暗さは「室内」で描かれたからと言っていいのではないでしょうか。
当時の画家は自ら絵の具を調合しました。
彼らは室内で描かざるを得ない状況にあったのです。

しかし画期的なできごとが印象派の明るさをもたらします。
「チューブ入り絵の具」の発明です。

画家はチューブに入った絵の具を買い、
それを戸外に持ち出すことができるようになりました。

脂色の室内画から明るい光あふれる世界へ…。
画家達は競ってその明るい「真実」を描こうとしたに違いありません。

ルネサンス期、画家は依頼主から自分や家族の肖像を描いていました。
ですから多少の美化をしつつも、美しく彼らを描き報酬を得ていました。

そこにも大きなうねりが待ち受けていました。

「カメラ」の発明はその使命から画家達を解き放ちました。
発明当初こそカメラでうつしたものをもとにリアルに描こうとする画家もいました。
かのフェルメールも「カメラ・オブスキュラ」つまり印画紙のない時代に
投影された映像を細かい方眼に分割しカンヴァスに写し取る方法で
「牛乳を注ぐ女」(1660年ごろ)を描いたとされています。

印画紙に焼かれるようになれば、肖像画の役割は写真に任せればいいのです。
画家の関心はなおのこと目の前にある刻々と変化する「真実」に向かいます。

光あふれる目前の光景!これこそが彼らの獲得した真実です。



印象派達の絵画を見よ。
人々はもう肖像とはいえない。
光の中に消え入りそうな危うい存在。
誰であるということの無意味さよ!



そう、こんな風に絵画史の変遷を大づかみにたどってみたわけです。
(生徒たちにはもう少しはしょった説明でしたが)

おっと気が付けばまたこんなに長くなって…。

遠近法の歴史もこれまたおもしろいのですが、
またの機会にということで。

ハイ、久々のアートの話題でした。

では。
by my-colorM | 2006-02-23 23:31 | アート