次から次に…そして、この夏最大の難関「焼き物」

夏休みまであと1週間となりました。
毎日深夜帰宅の2週間が過ぎ、今日ようやく自宅でゆっくりしています。

前回の話題は忙しい中でもホッと一息の映画鑑賞のお話でしたが、
この2週間はもうそれどころでは…。

PCもおちおち開いていられないほどのハードな毎日でした。(ハイ、言い訳です!)

まず何が私を忙しくさせたかというと、次のTo Doをご覧になると明らかです。

○宿泊学習6/26・27。保護者会7/3夜に向けビデオ編集。→1日に完成し学年主任に。
○3年生三者懇談用仮評定(進路指導含め、学習の進め方を考えさせる資料です)作成。7日締め切り。
○2年生焼き物の授業準備。追加道具発注。班別に道具を仕分け→7日・9日授業実施。
○パパ、ウィルス性腸炎。39度の発熱でダウン。先週は予定の土曜出勤足止め。
  日曜出勤で焼き物の道具準備を間に合わせる。
○PTA広報の準備と支援(夜会合)。→昨日ようやく業者に原稿を納めることができました!
○1年木曜朝学習→これまでの授業のまとめとなる美術・色彩用語のクロスワードパズルを作成しました。
○1年生文化祭展示企画。→「キッズゲルニカ」に取り組むことに決定!(また忙しくなるなぁ。)
○7~10日計4回放課後焼き物補習。未完成者のケア。→事後、後片付けが毎回2~3時間。
○夏休みの宿題配布準備。→ガイダンスのプリント作成。四つ切りケント紙を巻いてゴム止め。
○この間、小中とも平常授業。補習以外は部活動。


…と、我ながら超ハードな2週間でした。

さて、本校は一般教室と違い、美術室にはクーラーがついていません。しかも美術室とは廊下を挟んで向かい側に一般教室が並ぶというちょっと変わった教室配置になっています。一般教室でクーラーを入れると窓やドアが閉じられ、風通しが非常に悪くなります。暑さに耐えられず、壁付きの扇風機をフルに回すのですが、熱風をかき回しているという状態です。

そんな中、例年通り焼き物の授業(もちろん補習も)を敢行しました。これには少し事情が…。焼き物の授業では粘土ももちろんですが様々な道具を使います。その準備や管理が煩雑で、美術室での他学年の授業は絶対に避けたい。(というより物理的に無理!)しかもこの時期は教室ではクーラーが効くので、大抵の生徒は暑い美術室でのテンションがまるっきり下がります。

そこで、わざと「暑すぎる!私も教室で涼しく授業をしたい!」と、半ば強引に他学年の授業は教室で行う提案をし、またそれにあう題材を設定するのです。一方焼き物の授業の当該学年には暑いけどここで頑張れば夏休みに焼いてもらえるし、きっと夏休み明けに作品にご対面だと言い聞かせて授業をするのです。今やらねば、文化祭にも出せないのだ!…とも付け加えて。

ところが扇風機を回すと粘土がすぐに乾くので実際には扇風機も止めての作業となります。ほとんどの生徒がやり始めたら完成させるまで必死の作業となりますので、暑くても何故か文句もなく無風の美術室に耐えてくれます。

この題材のために、かなり前から教務の先生に相談して、2年生ながら2時間続きの授業設定とできるだけクラス間の空き時間をとってもらうことで、道具のケアや放課後補習の設定をしやすく工夫します。授業の度、補習の度の道具をケアが本当にバカになりません。

では、そのケアの内訳を紹介しましょう。

うちで使わせている道具は、

4人班の道具箱に、約20cmの5mm厚たたら板(8)、粘土用カッター(2)、切り糸(1)、かき出しべら(1)、木ぐし(1)、抜き型(ハート・楕円・丸型他数種)、切り針(1)、切り弓(1)、竹串(4)、ゴムベラ(1)、なめし革(2)、どべ(タッパー入り1)をセットしています。どれも細々とした小さい道具ばかりですが。

板づくり、手びねり(二つ割り)、ひもづくりに対応する道具となります。全市の作品展を見ると他校ではとても念入りに作られた精巧品が出品されるのですが、聞くと何週にも及ぶ制作期間を要しているとか。しかし、うちは二週、三週にまたがって授業はしません。というのも二週目に気に入らない部分が見つかるとすぐに作品をつぶしにかかる生徒が後を絶たず、授業でのねらいである加飾やかんな削りなどの仕上げの工程が成立しないことが十分予想されるのです。なので、仕上げ用の道具にはあまり厚みのない道具選定となっています。

さらに、各自に粘土板を使いますが、マーブルボードという再生粘土板が安く、扱いも簡単なので長年採用しています。以前、赴任してきた時に上等な板の粘土板があったのですが、忙しさにかまけて水洗いしたまま拭かずに雑然と重ねて置いてしまったら、気づいた時にはすでに遅く、反るわ隙間ができるわで何枚もダメにしてしまいました。予算的にも余裕のある学校ではありませんので、その補充のために高額の粘土板には手が出せませんでした。マーブルボードは若干小さいし、粘土による染まりもかなりありますが、手入れの楽さと値段の安さ、そして「再生品」というところが子どもたちにも紹介しやすく、即採用と相成りました。

また、板づくり用に用意している粘土のべ棒(のばし棒)は表面にキズがあると平らな面がつくれません。この棒、同じ長さだとすぐに太鼓のバチ代わりにして机の角に打ち付け、凹ませてしまう子どもが出てきます。なので、わざと長さを変えて班に2本ずつ渡します。転ばぬ先の杖かな。お陰で穴ぼこ被害は毎年若干少なめです。

粘土用サークルカッターは丸い土台づくりに便利なので昨年採用しました。コンパスで型紙を作らせるよりは柔軟で手軽です。ちょっと値が高いので昨年3セット、今年3セット追加して現在6セットあります。

毎年カタログを見ながら少しずつ道具の充実を図ってきたのですが、今年は切り弓となめし革を採用しました。今年の作品は「家で使える焼き物」をテーマにしましたので、皿・コップ・茶碗などが増えると考え、口あたりをなめらかにしたい生徒が増えるのではと考えました。また、いくら助言をしても板づくりにしたときなどにどうしても作品が粘土板にひっついて剥がれない!という生徒がいますので、今年はスケッパーを用意しました。以前は片栗粉なども置きましたが、ビニール袋の中でカビが生えるのが気になり、それは止めています。こちらの使用頻度は結構高かったので、あと2枚は欲しいかな。

さて子どもたちは4人班で係分担をして授業に取り組みますが、これがなかなか…。普段の授業や学校生活できっちり班活動をさせていれば慣れたものなのでしょうが、うちの学校の弱いところでしょうね。分担は道具材料を取りに来るときだけは機能しますが、後片付けともなると俄然厳しくなります。進度がバラバラな中での片付け指示の頃合いが難しい。結局、最後まで粘る生徒がいる班、横着者の集まりの班ともなると、整理して渡した道具箱に粘土付き道具が乱雑に放置されてしまいます。もちろん机の上も粘土だらけ。彼らには次の授業の始業チャイムという味方がついています。コントロールの利くクラスでも完璧な後片付けができる班は限られます。さすがに授業中に粘土を床に落とす例は少ないのですが、これが放課後の補習ともなるとメンバーによっては一気にロストコントロール状態に陥り、足下に粘土が落ち出します。

なので、授業後、空き時間をつくってもらい、また補習後にも時間を掛けて道具再セット。床や机もチェックして、次の授業・補習までにコンディションを整えます。少なくとも授業で初めて使用する時には粘土のこびりついた道具を絶対見せたくない。それが9班分のセッティングとなるので、繰り返しのケアを強いられるのです。

そんな苦労が絶えない題材だけれども、焼き物は本当に楽しい!

材料の粘土は固くなっても再生は簡単にできますし、つくりかたもバリエーションに富んでいて、しかもひんやりした触感や頻繁に水を使うところが夏題材として申し分ありません。実はもうかれこれ7~8回目。テーマは毎年少しずつ変えながら取り組んできました。昨年は「ランプシェード」、以前「焼き物オブジェ」という年もありました。これもおもしろい取り組みでした。

今年、1人の生徒が授業中、手びねりで進めてきた大きめの器がどんどん伸ばすものだからだんだん側面が薄くなり、しまいには穴があきました。しかもずっと土台を粘土板から外すことなく作業を続けていたので、最後には作品を剥がすこともままならず、100%納得できずに授業を終了しました。なのでその日の放課後に開いた補習に約束通りやってきました。彼はその日部活に行きたかったのですが、放課後も悶々としながら完全下校まで掛けて、似たような失敗を繰り返しました。挙げ句、キレて言いました。「粘土なんて大っ嫌い。ほんま腹が立つ。明日の補習は絶対来ないから!!」と。周りがどんどん作品を完成させて、満足げに帰っていくのがよほどうらやましかったんでしょう。誰に怒っているんだか、珍しく反抗的な態度で「もう来ない、もうやらない!」と捨て台詞を残して帰っていきました。

私はあとからその様子を担任に告げ、「一言励ましてやって」と添えました。担任の声かけがあったのかは分かりませんが、次の日の補習でペタっと私のとなりにひっついて作業を始める姿がありました。ぽつんと「○○君のようにツルッとした作品が作りたいんや。」といいます。「それなら板づくりでつくろう。」と提案しました。

見ていると彼は、粘土板の上でろくに粘土を練りもせず、また形を整えもせず、いきなりたたら板を渡してのべ棒を粘土の塊の端から思い切り押しつけていきます。どうしたら形よく円形の板ができるのかを全く想像していないようなのでした。私は「まず少しとってお団子をつくってごらん。」と指示し、「それを粘土板に手の平を使ってグッと平らに押しつける。」そして、「ここでたたら板の登場。」たたら板の間に丸い粘土の厚板が置かれたところで「のべ棒は真ん中から少しずつ広げて、同じ方向でばかり回転させると縦に伸びてしまうから粘土を剥がして置き換える」といい、きれいな丸い薄板ができていく様子を一緒に確認しました。「いい?これからサークルカッターで円に切っていくけど、もういっぺん粘土板から剥がして乾いた所に置き換えてね。」そして、「サークルカッターは粘土のど真ん中に合わせて置いて。」「どのくらいの大きさにできるかシミュレーションしてから切り針をグッと差して回転させる。」そういってやらせていくうちに、きれいな円形の粘土の板が粘土板の上にできたのを見て、彼ははじめて「おもしろい。」と微笑みました。

その様子を見て、「今日は来ないって言ってたやん。」と声を掛けました。すると「しょうがないやん、今日は塾もあるし、部活も中途半端になるし…。」とよく分からない返答が返ってきました。「昨日は反抗的やったよね。」すると「だって、粘土が思うようにならなかったから。」と。「こうしようと思ったらそうなるように準備したり、先を読んで行かなきゃ。それに分からないことがあったらさっきみたいに私に相談すればこうやってうまくいくように教えてやれるんだよ。」そういうと本人、どうやら納得したようでした。その後彼は最後になめし革で表面を前日とは比べようがないほど美しく磨いて作品を仕上げて帰りました。

授業ではなかなかこうしたやり取りは難しいですが、補習で任意の参加ともなるとゆったりと少人数の生徒の相談に応じたり、くだけた会話も弾みます。

こうして怒濤の4日間を費やした焼き物の題材がほぼ終了。若干名の生徒の補習を残すのみとなりました。

来週は美術部でのシルクスクリーンのTシャツ制作です。これがまたおもしろい!!
まだまだ、夏休みまでに一山ありますがあと一踏ん張りです。


本日「色彩指導者養成講座」のテキストが午前中に届くので何よりも楽しみ。
忙しかった私に「自分の時間」をしばし返してもらう予定です。