一人ワインを飲りながら…
今日は京都くんだりからわざわざ新幹線に乗って息子が所属する楽団の定期演奏会を聴きに来ました。こういうのをまさに「親バカ」というのでしょう。でも息子が出るコンサートは欠かさずずっと聴いてきた私にとっては居ても立ってもいられないという感覚なんですよね。
えっ、息子?息子は今日は帰りません。
それは中1の初めてのコンサートの時からです。
コンサートがあると息子は打ち上げでお泊まり。
これはもう7年前からのおきまりのことなのでなんら違和感がありません。
なので、ちょうどこの記事が書けるというものです。
さて、息子はある意味ずっと音楽に真剣に打ち込んできました。
中1でオーケストラ部に入部し、その時にバイオリンを始めました。その矢先、彼は泣きながら私たち親を責めました。
「どうしてピアノを習わせてくれなかったの?」と。
よくよく聞くとバイオリンを始めた彼の最もネックになったことは「楽譜が読めない」と言うことでした。
「だって、お前習いたいなんて一度も言ったことが無かったじゃないの。」そういいながらも、すぐに、ちょうど息子の同級生のお母さんで実力派のピアニストがいらしたので、このことを相談してみました。すると二つ返事で、しかも本当に格安のレッスン代で直接彼にピアノを教えてくださることになったのです。
渡りに船とはよく言ったもの。純粋に音楽家の道を歩んでいる、先生となった彼女は、息子におおらかにピアノを教えてくださっただけでなく、息子が発する様々な音楽に関する質問や反応に真剣に答えてくれました。息子の先生というより私の友人である彼女は、程なく楽譜が読めるようになってレッスンの間隔が空くようになっていった息子を咎めることもなく、私と会うたびに息子が発した質問や言動について、「指導者というより音楽仲間としての友情を感じていた」と言ってくださっています。
さて、中学校に入った彼がオーケストラ部に入ったのは、「弦を極めたい」という彼の一言によります。
さかのぼること小5の誕生日前、息子は友達のお父さんからそのおうちにあったギターを弾かせてもらいました。Cコードを「ジャーン」と弾くフレットの抑え方を教わり、即その気になったようです。「ギターが欲しい」意外な展開に驚きながらも、自分自身が小6のときにギターをせがんで買ってもらった経験、しかもその2週間後には兄に取られて本格的に始められ、結局何らマスターせずに終わった苦い経験がある母親にとっては、もしかしたらチャンス到来?本人が放り出しても私が何とか…なんていう気分もあって、イケイケで誕生日のプレゼントにしたものです。
その後の彼は、本当にはまりました。YAMAHAのギター教室にも通って、あれよあれよという間にゆずの弾き語り(ハーモニカ付き)をマスターし…。10月が彼の誕生日なのですが、お正月に実家に帰ったときは、ゆずオンステージ。その年の小学校でのお楽しみ会で、私と二人で「○○家」というユニットを組み、体育館で「なごり雪」と「心のままに」を披露したほどです。ゆずの曲ではハモりとハープシコードを加え、ボーカルの私を気持ちよく歌わせてくれたものです。(後にも先にも、今更ながら、かけがえのない思い出です。)その名残として、当時息子が買いためた「GOGOギター」という雑誌が残っています。そういえばギター譜ってコードネームと抑えるフレットに黒丸がしてあるのとリズム譜で出来ているんですよね。ヴィジュアルな、感覚的で分かりやすい譜面だと思います。
さて、そんな彼が中学校に入学し、部活を決める際に発したのが件の「弦を極めたい」だったのです。
その頃にはフォークギターをかき鳴らすのではもの足りず、クラシックギターに目覚めていましたが、何しろギターを弾くにも行き先がない。軽音同好会はあるものの、それは高校にならないと入れないということで、結局「弦つながり」でなぜかヴァイオリンに転身したということなのです。
弦楽器はなにも「ヴァイオリン」とは限りません。「ヴィオラ」・「チェロ」・「コントラバス」も。じゃあ何故「ヴァイオリン」に決めたのか。それは入学式直後に行われたオーケストラ部のチャリティーコンサートで見かけた「コンサートマスター」に目を射抜かれたかららしいのです。
「いずれコンマスになる」。それが彼の入学で喜んでいた母の度肝を抜いた名言となったのでした。音楽の「お」の字も知らぬ母。英才教育で3才からヴァイオリンなんていう話は全然違う世界の住人の話。ヴァイオリンてどうやって買うの?鳴らすの?習うの????という状態からのスタートでした。
その頃すでにインターネット真っ盛りの時でしたから、初めてのヴァイオリンはなんとネットで購入しました。それも2万円台の代物です。ギターも本人の希望でアコースティックギターの他にエレアコもアンプ付きで買い与えたのに、ほんの数週間で飽きて(というか、受験勉強で自然に離れてしまったのだけど…)手つかずの放置状態になっていたので、やると言い出したものの長続きするのか、かなり疑問があったんですね。ヴァイオリンは高額の楽器というイメージがありましたので、心変わりをしても深傷は負わない格安ヴァイオリンを試しに買い与えたのです。
そのヴァイオリンが到着したので、添付マニュアルにそっておそるおそる中1の息子が弦を張りました。で、早速弓をあててもスコスコと滑って何にも鳴らないので、安物だけに、「騙された!」と思いました。でも息子がじっくりと取説を読んだあげく、松ヤニを弦にたっぷりこすってリトライすると「ギャー」とか、とにかく音が鳴りだしたので俄然気を取り直しました。
さあ、学校での部活が始まってすぐでした。先ほどの「楽譜が読めない、ピアノを習わせて」という泣きながらの訴えがあったのは。
そして同期のバイオリン仲間もほとんど初心者でした。やはり友人のツテで先生につき、3人一緒に習い始めました。はじめこそ同じ段階で必死に習っていましたが、だんだん進度や思い入れが違っていきました。結局一緒のレッスンに疑問を持つようになった息子は、もっと本格的に打ち込みたいと言いだし、結局誕生日には楽器を10倍近い値段の代物にグレードアップしましたし、先輩達の練習状況にも愚痴をこぼすまで本腰を入れるようになっていきます。
中3の時でしょうか、先輩と衝突。部の行く末を思う気持ちが昂じてストレートに物を言う生意気な後輩だっただろうと思います。高1では後輩との確執。言うことをきかない後輩に歯がゆい思いをしていたようでした。そしてコンマスとなった高2。当時師事していた京響所属の先生の紹介でさらにステップアップして今も尊敬する先生に(格安で!)師事、ヴァイオリンもその先生のアドバイスをもとに奏法にふさわしい楽器をレンタルし高校最後のコンサートに臨みました。
…こうして息子のやりたいように(楽器も欲しいままに)させてきて、その息子の追っかけをするバカ親が生成されたというわけです。
それでも、我が子が輝いている姿こそが何よりの親孝行。打ち込むことがある人生をいつでも応援したい、それが親心なんです。誰になんと言われてもこればかりはやめられません。
そして今日のコンサートは息子が参加する演奏会の中で一番素晴らしい演奏でした。同じようにこれまで欠かすことなく聴いてきたパパにも是非聴かせてやりたかったです。
…
あ、もうボトルが空っぽ…。「親バカ日記」もそろそろ終わりとしますか。