「若冲展」第二会場もこってりと…

そう。「若冲展」追加レポートです。なかなか更新できず申し訳ありませんでした。もう昨日が最終日だったというのに…。

ま、しかし、私自身の心覚えに記しておこうと思います。

とりあえず、どんなにつらい待ち時間であっても、来た価値あり!!の逸品ぞろい。これほど若冲に浸れるとは思いませんでした。本当に贅沢でした。

そして若冲のあの細密な描写を支えたのが、前回紹介した「信仰」であった。そのことが存分に実感できたのです。

若冲といえば「群鶏」に代表される鮮烈な鶏冠の赤と尾の黒そして羽毛の模様やそうした鶏たちの、歌舞伎で言えば見得を切っているような劇的なポーズにその魅力を感じる方々が多いでしょう。確かに私もそのような若冲の真骨頂たる「鶏図」も好きです。

でも今回は「池辺群虫図」に若冲の、生きとし生けるものを照らす仏のこころに到達しようとする思いを実感し、強い共感を覚えました。まるで江戸時代の「本草絵図」を見るような細密に描かれる植物に、蛇や蛙、やもりやかぶと虫、蝶々…、よく見るとおたまじゃくしや蟻も描かれています。若冲らしく、どこにも手を抜くところはなく、細密描写に貫かれた画面はその虫たちの配置にも独特のこだわりを感じました。

おたまじゃくしひとつ描くのも彼にとっては在家修業の一つだったんだろうと思えてくるとその真摯な姿勢がたまらない魅力として際立ってきます。

昨年目の当たりにした、プライスコレクションの「鳥獣花木図屏風」升目8万6000個を超えるとされている異色の屏風絵。(昨年の記事はこちら)これに対する見方が変わってきました。プライス氏が自身の浴室の壁面のタイルにしたほど、氏のお気に入りのあの屏風絵ですが、まるで私には宗教画にすら見えて来るのです。一マス一マスに丁寧に塗り込んでいく過程で積み上げていく来世への徳…。

もちろん、こうした考えは私だけの飛躍した解釈なのかもしれませんが、「釈迦三尊像」と左右15幅ずつに配された「動植綵絵」を身動きもとれないまま、いえ、それを逆手に一部始終を見て取っていくうちに、そんな風に思えてきたのです。

一筆一筆に渾身の技を施していく修行者若冲が私たちに残していった一人の人間としての存在証明。圧倒的な構成力で、描かれたものの一番印象的な姿を、見る者に焼き付けていくようでした。


並び始めてから帰路につくまで結局4時間余り。足が棒になりましたが、私の内面世界は充実し、豊かなものに満たされた思いでした。

若冲、120年ぶりのお里帰り。これを機にこのような展覧会が数年に一度でも実現しますことを祈ってやみません。
by my-colorM | 2007-06-04 10:31 | アート