リクエスト
制作は生徒会本部の中から数名の担当者の他は1年から3年の有志を募って、放課後、部活動との両立を図りながら行います。
1年生で参加する生徒は毎年大変少ないのですが、ここ数年の様子を見ていると1年目に参加した生徒は続いて参加し、その経験を次の代へと受け渡してくれています。
完成すると裏面に制作にかかわったメンバーがそれぞれ思い思いのサインを残すのですが、3枚名前を書いた!と得意満面の生徒もいます。
さて、その第一回の制作有志全体会に三十数名の参加者が集ってくれました。
本番の終わった吹奏楽部員や春季体育大会で勝ち残れなかったクラブの部員も姿もありましたが、放課後の逃げ場所だけの存在にならないようにしっかり見守って行こうと思います。
さて、そのようなメンバーに原画用紙を配り、この4連休を使って描いてくるように指示して会は終了したのですが、その場に残って描いてもいいかという要望。早々にクラブの練習に切り替える生徒ばかりではありませんでした。
支障がなければと念押しして短時間居残りをさせました。
すると…。
そのメンバーは2年生の子どもたちでしたが、1年生の最初に美術の授業でやった『ブレーンストーミング法』(短時間により多くのアイデアを出す発想トレーニング法)を思い出したようです。ある簡単な図形を提示し、何に見えるか、またはその形を使って絵を完成させるというもので、限られた2、3分の間に、より多く、よりユニークなものを目指して全力で当たらなければならないというルールで取り組む訓練です。
それがなぜここで?と思っていました。それもそのはず。今年の6年生の初授業に2クラス取り組んだのですが、その授業を受けた弟君がそのことをお家で話したそうで「あれは難しくて苦手や」と話す生徒に対して、「いやいやおもしろくて好き」と横から別の意見も出て賛否両論そろいました。
そのうち、「先生、やりたい。問題出して!」とリクエストが…。
意外なリクエストはとてもくすぐったい思いがありましたが、これで案外出題者にとっては難しいものなのです。はてさて、どんな問題を出そうか…。
結局即興で私から2問。そして「問題を出したい」という生徒から1問。続けて絵を完成させるお題が出されました。子どもたちが自発的に取り組む場面はおもしろい体験でした。お題を出したいと言った生徒が一番頭を抱えていたのが印象的でした。確かに難しいのです。こんなことのためにもネタは持っておかなければなりませんね。
タペストリーの原画づくりが思わぬ展開となったわけですが、こうした遊びの中に授業のネタが使われるというのは嬉しいもの。それが豊かな発想につながり作品にも反映してくれると一層喜ばしいのですが。
連休明けの原画がちょっぴり楽しみです。