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夏季研修講座報告…Part1

毎年夏休みに2日間中学校美術研究会と教育委員会がタイアップした形で、実技研修会が行われます。

市内の多くの美術教員が参加し、日頃の学校での取り組みや悩みを交流したりする機会にもなっています。

数年前までは市内の中学校の美術室や総合教育センターの美術室を使っての実技研修がほとんどでしたが、ここ3・4年、1日はバスで少し遠いところまで足を伸ばして普段なかなかできない内容の実習研修が入っています。何年か前は信楽陶芸村での手びねりとろくろ体験、本格的に水墨画を習ったりしたこともありますし、一昨年は、滋賀県の長浜の黒壁スクエアでサンドブラストとバーナーワークによるガラス体験をしてきました。その時々に幹事会で意見を出し合いますが、友人やつながりを駆使して実現を図ってくださる研究会の中心の皆さんのおかげで、私は参加させて頂くだけですが、充実した時間を過ごさせていただいてます。

昨年は地元の精華大学で「ポリマープレートによる版画実習研修」、2日目は岐阜県に出向いて「ガラス工芸制作実習(ふきガラス)」および 養老天命反転地の見学研修でした。新しい素材研究や普段なかなかできない経験ができ、いよいよ期待感のわく研修で参加者が定着してきました。夏の研修で顔見知りの先生ができ、研究会活動でもつながりがさらに深まっているように思います。

そして今年は26・27日と金沢市に出向き、「湯涌創作の森」での実習研修と「金沢美術工芸大学」の見学研修及び「金沢21世紀美術館」の鑑賞研修ということで、大変有意義な研修をさせていただきました。

今回ははじめて宿泊をともなう研修旅行となったわけですが、運動クラブの夏季大会まっただ中にもかかわらず、22名が参加しました。

2日間で見聞きし体験したことを3つのテーマに分けてつづっていこうと思います。





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Part1…「藍染め」実習。憧れのジャパン・ブルーを体感!!

湯涌創作の森では、版画・染織の体験ができます。宿泊施設もあり、工房を利用して本格的な制作をする作家もいるとか…。ここでは子どもたちが体験するものよりやや深めて実習をしてきました。

私が選んだのは「藍染め」。
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蓼藍(タデアイ)。インドシナ原産の1年草。古く、中国を経て日本に渡来。高さ6、70cmになる。使用部分は葉。

色を学んできて、いにしえからの天然染料である「藍」にことのほか興味を覚えました。ここでは発酵建ての瓶で本格的に染めることができます。

別棟の倉に藍槽と藍瓶(かめ)があります。敷居をまたぐとツンと鼻を突く、たい肥の強い発酵臭がしてきます。
奥の方にある藍瓶で今回染めるのですが、写真の手前の瓶ではプクプクと泡が盛り上がっているのがおわかりかと思います。
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この泡を「藍の花」と呼びます。染める準備ができている印です。夏場は藍がとても元気で、短時間で強く染まります。天然の発酵建ての藍染めの気むずかしい一面を垣間見ることができます。


さて今回の実習の中で、制作の基本は防染と瓶につける回数と時間管理といえましょう。
防染の方法は絞りと板締め、そして大まかにはラップも使いました。

鋭意制作中。
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はじめはバンダナを糸絞りで。青花ペンで下書きをしてから並み縫いをしていきます。長いラインを縫っていくのだからと糸を長くしてしまうと無用な時間がかかってしまいます。数センチ縫ううちに気づき、短い糸にしてやり直しました。

2つ目のランチョンマット完成作品
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細い短冊のようなラインは屏風たたみにして1cm間隔で糸を通し、玉結びで止めています。四角い形は四角く細かい並縫いをしてぎゅっと絞って、すぼめた部分をつまみ、そのまま糸で巻いて止めています。具体物を表すときでも輪郭を並縫いして絞ることで防染できます。作品は2回染めです。ラップ防染がアバウトで…微妙なラインになってしまいましたが。濃淡をつけたい場合は1回目に漬けるときに巻いてゴムでくくった防染用のラップを外して2回目をくぐらせてやります。当初は7分・5分の指示でしたが、2回目が3分でもまだ強く、藍の勢いがよいということで2度目のときは自分で判断して2回目を30秒であげてみました。それでもまあ十分だったと思います。


本格仕様。手前には細長い藍槽があります。大きな作品はクレーンで吊して染めるそうな…。
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大きな後染めの反物や、大量の糸を染めるのに使うのでしょうね。

ここだけに通用するサイン?
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なんともユーモラスで思わず撮らせていただきましたよ。ええ。
しかし、こんなに強く染まってしまう藍…。はまったら大変!!です。

今回ほんの数時間でしたが、嗅覚や触覚、そして泡のかすかにはじける音も含め、五感のうち味覚以外の4つで藍を体験できたように思います。もっとも、味覚についても、職人さんは発酵の具合を知るために棒などで染液をすくい、舌で味見をするとか…。まさに五感をフルに使ってする仕事といえそうです。

藍の発酵建てについては志村ふくみさんの「一色一生」にもくわしく書かれており、その苦労は読んで知る程度ですが、おおよそ察することができます。九月から十二月のはじめまで およそ百日間かけて水を掛けてはくり返し発酵させ、土の固まりのような”すくも”づくりから、灰汁(木や草を燃やした灰を熱湯に入れて作った上澄み液)、ふすま(麦のカラ)、石灰、日本酒等を用いて発酵を持続させていかなければなりません。春夏秋冬の温度管理と発酵を助けるために毎日の櫂による撹拌作業…、瓶を維持するのも大変ですよね。

こういう体験ではそのあたりの苦労はすべて省かれています。冬場の作業を想像し、感謝しなければなりませんね。ありがたや、ありがたや。

しかも季節は夏。水洗いの多い作業ですが何ら苦もなく、かえって心地いいほどですから、不遜なくらい。いいとこ取りもいいとこです、全く。

今回の実習研修では、このほかにシルクスクリーン、織り、銅版画と4つの工房を借りて、みなさんそれぞれに実習を堪能されたようです。1週間ぐらい逗留して制作に没頭してみたい…そんな感想が口々に語られました。