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夏の集中講座に参加させていただきました、日本色彩研究所の色彩指導者養成講座の、第27期隔月開催型の申込み締め切りが明日9月25日に迫っています。

集中講座は、私のように勤務地が離れていて受講できる条件が限られている場合、本当に助かったのですが、比較的近い方なら、じっくり学べる隔月型というのが、しっかり学ぶ上で、うってつけなのではないでしょうか。隔月の平日(木、金)に参加できる方はお急ぎくださいね。

内容は、広範な色彩学を様々なアプローチで学ぶことのできる、本当に楽しい講座です。

この機会に色彩学の上級講座を受講してみようという方は是非。おすすめです。
by my-colorM | 2008-09-24 22:45 | 色の話
先週の日曜日。5日から公開のアメリカ映画「スピード・レーサー」を観てきました。

コンセッションの脇にある大型ディスプレーでは大抵新作ムービーの予告編を放映してますよね。その映像がとっても斬新で美しかったので、次はこれだ!っと直感しました。

公開日にはあれやこれやでいけませんでしたが、一週おいて待望の映画を堪能してきました。

主題歌を聴くとなんだか懐かしく思い出されたのですが、それもそのはず1960年代の日本アニメ「マッハGoGoGo」(吉田竜夫原作)がこの映画のもとになっています。カーレースに蔓延る不正や悪に立ち向かう主人公とその家族や仲間たちのドラマが、あるいは抜きつ抜かれつの大興奮レース中継が、まさに1960年代調の高彩度マルチカラーのサイケデリックな色彩の洪水ともいえる映像の中で繰り広げられます。

色とりどりのネオンサインが動き続けているかのような鮮やかな原色づかいが各シーンに躍動感を与え、空想世界をより一層空想的に演出しています。レースシーンを観ると観客も光のシャワーの中で活き活きと蠢いていてその興奮が伝わってきますし、もちろん、カーレースのスピード感や興奮もその色彩なしに語れそうにありません。これでもかというほど色を使っているのに、どの場面も雑然とは見えずに美しく成立しています。現実離れした空間を演出すべく、相当練られた色彩計画のもとにセットの内装、外装が作り込まれ、登場人物の衣装が選びだされているからなんでしょうね。近未来のイメージカラーといえる金属色にプラスして効果的な反対色使いが随所に見られます。もちろんCGもたくさん使われています。実写部分はグリーンバックで撮影されたそうで、そういわれてみれば確かに登場人物の衣装にはグリーンはありませんでした。また正義の色、邪悪な色など色の持つイメージがうまく使われていてわかりやすい。これは日本アニメの色彩傾向と同じですね。

ストーリーは単純明快。なので子どもからマッハGoGoGo世代まで十分楽しめると思います。ところどころに日本アニメのテイストがちりばめられ、チンパンジーのチムチムも子役と一緒に名演技を披露してくれていて見飽きることはありません。

…が、私はそれよりもなによりもその色彩に関心が向いてしまいました。

DVDが出たら配色の研究材料として是非購入したいと思います。

色彩に関心がある方はご覧になるといいかもしれませんね。カラーデザインの発想が湧いてくるかもしれませんよ。
   光=色は私たちに様々な影響を与えている。

そこに目を向けて、色の可能性をどんどん押し広げる仕事をしている人がいます。この人こそ「プロフェッショナル」という印象を強く受けた木村千尋先生。妻であり、母でありつつ、色彩を本当の意味で仕事にする「フロンティア」として25年活躍して来られました。誰かに似ているなぁと思わせる長~い黒髪。そう、どことなく萬田久子さんに似ている笑顔の素敵な方でした。その一言一言を発する表情、しぐさ、声色に、仕事人としてのカリスマ性をビンビン感じてしまいました。圧倒的な説得力、人を惹きつけてやまないご本人のコミュニケーション手法の魅力に、3時間の講義中、終始うなずくばかり。「わぁっ、この人スゴイ人やなぁ」という人に出会うことができたのは夏の美術科研修で訪れた大原美術館の学芸課長さん以来です。仕事の出来る人は人前で本当に楽しそうに話されます。

今日は「AFT色彩セミナー」(東京会場)で色の勉強をしてきました。このセミナーには色を勉強したり、資格を取得してこれからそれをどう生かそうかと模索していたり、さらに具体的に仕事を展開している人がその領域を広げようとされていたりという「色」に関わっている人たちが参加していたはずです。後に続く人材を開拓する、そんな使命感で講義をされている印象が伝わってきました。

さて、その中で、いくつかの印象的な場面があったのですが、
その一つに、表情筋を使った、いわゆる「目力(めぢから)」でペアを組んだ相手にメッセージを送るというワークがありました。

ペアを組んだお相手は、これまたなんとMiyabiさん!でした。
受付を済ませて、フリーシートを探しましたが、ちょうど空いている前の席に陣取りました。お隣さんは荷物だけでいらっしゃいませんでしたが、程なく戻って来られ、ふっと会釈したそのお顔に見覚えあり。奇遇でした。そういえば、講師養成講座初日にも横並びにきよりんさん、ジュエルさんということがありましたね。きっと何か深~い縁があるんでしょうね。

と、また不思議なことに、その「目力ワーク」では「私はあなたのことが好き!」というメッセージを送るというお題だったのですが、二人とも「この会議つまらないなぁ」というメッセージに見えてしまったのです。なんと「今日は帰りどこ行こうかな、楽しみ」というメッセージにも見えてしまい…、これはどうしたことかといぶかしがる二人でした。

自信あったんだけどなぁ。何だかとっても不思議でした。表情筋が大切と言うことですが、この言葉を介さないコミュニケーションで、相手に好感を伝えることができるのも大事なスキルなのでしょう。それにしても、何でかなぁ。Miyabiさんラブ!なのになぁ…。

さて、色が人々に与える心理作用、生理作用というのは数々ありますが、新しい分野で特定の色の光を照射し、塩パネルを使ったホワイトルームを光色で満たして、そこに入った人に、様々な心地よい音や触感、また心地よい香りや温度を与え、身体や心を癒していくという五感を刺激する「心理療法」が予防医学の試みとして紹介されていました。光色の色相は特定の波長の振動ですが、それぞれの色相に「○○に効く」というような効能があると言います。色刺激が他の要素と絡んで生理的に作用することが実践段階に入ったと言うことでしょう。

木村氏は「福祉住環境コーディネーター」資格取得も、色の専門家として取り入れたい分野であると強調していました。色はビジネスとしても可能性のある分野です。学んだ「色」を生かして行くには、一歩行動に移すことで人脈をつくり、体験を通して人に伝える事例を増やし、人からは勿論あらゆる手段で情報を集め、自分自身の環境を大胆に変えていくことが必要だと加えました。またそれを実現していくためには色彩心理だけでなく、心理学の他の領域にも多くの学びがあるともおっしゃっていました。

カラー鉛筆から好きな色を選んで、自分の抱える問題をとらえ、それにどういう一歩で踏み込んでいくのか整理していくという宿題をもらいました。近日中に、表紙裏表紙も書き込んで名前を書き、自分自身をナビゲートして行動を起こす自分に変わっていきたいと思います。

スゴイ!の一言で陳腐に締めてしまって何ですが、彼女の仕事歴である25年と言えば、私の教員歴でもあります。その間に木村氏が手がけてきた「色彩心理学」。自らの震災体験から、光や色がトラウマも生むけれども、人を勇気づけたり癒したりすることができると話し、あの神戸ルミナリエを手がけた経緯についても語られました。素晴らしいキャリアに感嘆!あっぱれです。


  「色」を生かせる未来が始まっている。そしてあなたの未来は変えられる。

今も学んでいらっしゃるだろう色彩受験生の皆さんを勇気づけるのも私の仕事。こんな言葉に俄然意欲が湧いてくるというものです。

東京に来てよかった。価値あるセミナーでした。
前回に引き続き、「自分色」の指導を考え、今日、もう一つの小学校の授業で話したことをまとめて記しておきます。


…今日は、お話の絵の完成を目指しています。とても大事な時間なのですが、あえて私の話を聞いてください。今日は「自分色」という考え方をみんなに提案したいと思います。

「自分色」とは何かをわかって貰うために、その反対の色は何だろうということを考えましょう。そう、私がいつも言っている「絵の具屋さんの色」、つまり絵の具セットにあるチューブそのままの色を自分色の反対の色と考えています。

この間、実は、みんなが絵の具箱にあるチューブから絵の具を絞り、そのままの色を使って絵をかいているところを、私はとても気になりながら見てきたんです。それで、みんながどれだけの色を使えているのか、考えたいと思います。

だいたいの絵の具セットは、せいぜい12色ほどの色しかそろっていないのではないでしょうか。パレットに絵の具をしぼり、そのまま画用紙にぬりつけていく。実際には全部のチューブを使っているわけでもありませんから、色数としてはほんの数個しか作品に使ってないということになりますね。

さて、人の目を研究している人のある説によると、成人、つまり大人の人の目では、なんと、750万色の色のちがいを見分けることができるといわれています。750色ではありませんよ。750万色です。どうですか?凄いでしょう?人間はそれだけの色を見分けることができる。なのに、表現する、つまり絵を描くときは12色足らずの絵の具を使っているに過ぎないとしたらどうなのでしょう。実際、今、みんなの絵には何色ぐらい使っていますか?せっかく見分ける力があるというのに、絵に描くときには使わないというのでは、これは「宝の持ちぐされ」といっても言い過ぎではありませんよね。

そこで、色の広がりや深まりをどんどん経験していくために、私はみんなに「自分色」という考え方を提案したいと思います。

「自分色」をたくさん増やしていくために、3つのポイントで考えたいと思います。


それは、

「色を混ぜてつくろう」
「色の並べ方をくふうしよう」
「色はたしかめて使おう」

です。

図を見てください。

(黒板に赤・黄・緑・青4色のチョークを使い、混色の模式図として色相環を示します。小さい4つの円をハッチングで塗り、2色の間にも同じくハッチングし、円は8個かいておきます。赤と緑、黄と青は両矢印の十字で結びます。へリングの反対色対といったところです。紫のチョークはありませんのでマンセルのような5つの基本色は使いませんでした。「物理補色」のことを考えるとマンセルの方が合理的なのですが…。心理4原色の赤・黄・緑・青、心理補色のP.C.C.S、物理補色のマンセル、子どもたちにとってどれが一番混色・配色のイメージとして自然に受け入れられるのか、なかなか簡単な問題ではありません。)

この図からは絵の具を混ぜたときの変化を見ることができます。色を混ぜることを「混色」といいます。

たとえば赤と黄を混ぜるとオレンジができます。これらの色は似ている色ということになります。ほかにも黄と緑を混ぜると黄緑が、青と赤を混ぜるとむらさきができますね。こうしてできた色は似ている色の仲間です。このように似ている色のことを「同系色」と呼びます。

ところが、黄と青を混ぜた緑はチューブの緑よりもかなり濁った色ができます。赤と緑は混ぜたら一体これは何色なのかと訊かれても、はっきりしませんね。見た感じで全く似ていない、このような色は反対の色ということにしましょう。これを「反対色」と名付けます。

「同系色」を混ぜる時、たがいに同じ分量ずつを混ぜると2つの色の中間の色ができます。赤と黄ではオレンジ、赤とオレンジでは赤みがかったオレンジとなります。

ところが、これらの色は一方が少ないとあまり変化がありません。同系色を混ぜるときは、変化がわかるぐらいの分量を混ぜる必要があります。

では、「反対色」を混ぜるとどうなるでしょう。たがいに同じ分量を混ぜると、にごって灰色っぽくなり、いったい何色なのかがはっきりしないことが多いのです。

ということから反対色を混ぜる時には相手の分量を少なくして、少しずつ色の変化を見ながら調整していくといいのです。反対色の混色からは、元の色に比べて、落ち着いた深い色がつくれるはずです。

ところで、混ぜたらどんな色になるかわからないという人が結構いるでしょう。そんなときは、いつも「たしかめながら」少しずつ経験をつんでいくことが大切です。いろいろと試してみることがみんなの時期には必要なのです。いろいろとたしかめることであなたの「色の世界」は無限と思えるほど広がっていくでしょう。
 
また、様々な色を並べることを「配色」といいます。

似ている色どうしを並べると、まとまりがあり、落ち着いておだやかな感じがしてきます。赤やオレンジ、黄などを並べると暖かく活気のある感じがしますし、青やその同系色を並べると、冷たくて落ち着いた感じがします。このように同系色のグループによって、絵に「寒暖の感じ」を付け加えることができるようですね。

では、反対色を並べるとどんな感じがするでしょう。混ぜるとにごる性質がある反対色ですが、これらは、並べると強さを感じさせます。特に明るい黄と暗い青などの組み合わせははっきりと形を見分けることができ、目立って注目を集めやすくなります。配色もいろいろとたしかめながら経験をつむことが大切です。

さて、配色の力をのばすためには何も絵の具を使わなくてもできることがあります。自分の身の回りにある様々な物に目を向けてみるのです。いろいろな物を見て、きれいだな、すてきだなと思ったときに、その色に注目してみるのです。どんな色の組み合わせなのかをたしかめて覚えておくと、作品に色をつけるときのヒントになるでしょう。

「自分色」で色をつけた作品には、自分の思いがこめられます。工夫して色をつくりだしたのですから、きっと愛着のもてる作品になるでしょう。人が見分けることができる色数は本当にたくさんあるのですから、自分の作品に色をつけるときも数え切れないくらいの色を使って欲しいと願っています。

これからどんどん「自分色」を増やしていきましょう。

…描く手を止めさせて伝えた話はこのような話でした。

そうして、子どもたちのつくった色で作品が彩られたのを発見しては、「いいね。自分色だね。」と声をかけていきます。実際、黒一色、青一色のようだった夜空が授業の中でそれぞれに少しずつ違う色で描かれてきたことで子どもの追求を一端を見ることができました。子どもの満足げな笑顔に、また一つ勇気を貰える授業ができたような気がしました。

今回は、白・黒・灰色を混ぜる点については省いています。水彩画においては、白をまぜることによる白濁が透明感を失い、他の色と合わないことがあったり、影色に黒を混ぜることを安易に教えたくないという思いからでした。補色使いによるミュートカラーやナチュラルハーモニーなど有彩色でできることは多々あります。

そうはいっても白黒を混ぜる場面は出てきます。たとえば、肌色と茶色。いわゆる肌色はオレンジに白、茶色はオレンジに黒としつつも、肌色や茶色は赤~黄の同系色と白、黒との混色でできる幅の広い色であることを示しましたが、これもあくまでも個別対応をします。質問があったときにパレットで本人に実際に混色させ、赤を足したり、黄を足したり、場合によっては黒ではなくあい色を足したりと試行錯誤をさせながら…。

少しでも愛着をもって描くことができればという思いからスタートした「自分色」という提案、いかがでしたでしょうか。
東芝から携帯機器のカラーバリエーションが24の「色」がたりとして紹介されています。

カラーの勉強に取り組んでいらっしゃる皆さんにとっても伝統色の色目と由来をつかむのになかなか興味深い内容ですので、まだご覧になっていらっしゃらない方のために紹介させて頂きます。

(ただし、テキストに記載されているJIS慣用色名とは一致していませんので注意が必要です。)

パントンカラーのカラーバリエも他社携帯電話から出ており、カラー展開の競争が激しくなっているようですね。回転の速い携帯機器の世界。自分らしさを求める消費者にどれだけアピールするか、売り手としての戦略が求められます。

それにしても、黒とシルバーグレーのパーツ色はページ上に24色が整然と並べられたときには共通要素として効果絶大なのですが、単体で見た場合にはベスト配色かどうかは微妙ですよね。

カラー戦略として広告の視覚効果をねらったものでしょうが、各ショップでは24個がどのようにディスプレイされるのでしょう。実際手にとって操作感を確認する場面では単体勝負になりますよね。さぁ、その場合、単体がどれだけ消費者の心をひきつけるでしょうか。個々に見ていくと興味が湧きますね。

皆さんはいかが思われますか?
by my-colorM | 2007-08-22 08:13 | 色の話
午後から六本木「国立新美術館」に向かいました。
黒川紀章氏の設計によるうねるガラスの外観。1階の一番奥が会場で私が着いたときは最後尾が40分待ちの看板でした。けれど比較的列も短く、それほどのストレスは感じませんでした。

さて、「モネ」です。

色を学び、美術を教える身としては、これほどまで「色彩」と「光」にこだわった画家に注目しないわけにはいきません。

今回の展覧会は作品に密着することなく、観客の頭越しであっても大半は距離を置いて鑑賞することに徹しました。その方がモネの意図を酌みやすいことはこれまでの経験で知っていたからです。近くで観たら、それは荒々しいタッチの絵の具のぬたくりにしか見えません。離れてみると途端に光溢れる現実の風景が浮かび上がってくる、それが「モネ」の絵です。

私は制作年代と作品に注目しました。

若い頃のモネは、それこそ伝統的で、ありがちな、いわゆる明暗法による風景を描いていました。まるでコローやミレーといったバルビゾン派の画家を彷彿とさせるような森と川の風景にはむしろ驚きました。これは1850年代ですから、モネがまだ10代の頃の作品です。丁寧な筆致の中に、水面の映り込みといった生涯彼がテーマにした画題がすでに描かれています。

ルネサンス以降、西洋の絵画は明暗画法(キアロスクーロ)と透視図法により、空間と立体感の三次元的表現こそがその目的とされてきたという歴史があります。絵画においては、物がそこにある感じ、つまり再現性が重要でした。「光」は、「闇」とのコントラストによって初めて成立し、あたかも室内に明かりをともす効果や舞台照明のような劇的な表現によって生まれるものではなかったでしょうか。テンペラ画にしても油絵にしても、いわゆる「陰影」は、あらかじめ下塗り段階でつくったモノトーンの明暗表現に負うことが多々あります。それにおつゆがけをして色みをつけるといった表現がなされていたわけですから、もともと色そのもの持っている明るさ・鮮やかさを利用する術を持たなかったのではないかと考えます。そもそも「固有色」の考え方で、物体に固有の色がついていると思われてきた長い歴史と連動しているのではないでしょうか。

そして「印象派」の時代がやってきます。

見逃してはならないのがロマン派のドラクロアやターナーの系譜。ここに荒々しいタッチの中にきらめく光や色の可能性を感じたのかもしれません。そして戸外で描くバルビゾン派からの影響。自然主義がまさにモネの生涯にわたる徹底した現場主義に繋がっていると思わざるを得ません。

さて、その現場主義を支えたのが「チューブ入り油絵の具」だったということは以前書かせていただいたとおりです。そしてその絵の具こそが画面上で光を放つ高彩度の絵の具であったことはモネの作品の色からも想像がつきます。もちろん色の現象としての補色対比は以前の画家も意識的に使っている事実がありますが、もちろんモネも色の対比を駆使しています。それにしてもモネは本当に鮮やかな「赤」を多用しています。また、「青」も「緑」も「オレンジ」もかなり鮮やかな色が使われているのがわかります。合成顔料が頻繁に作られるようになり、その技術の恩恵がモネの作品の数々に示されているようです。鮮やかな絵の具とそれを対比的に使うことでさらに生まれるまばゆさ…。

画家のパレットは厳しく色の配置が定められ、まんま光り輝くような鮮やかなものです。つまりパレット上で混色することは極力避け、画布にそのままの絵の具がのせられ、粗いタッチで置かれたことの証です。なので作品は絵の具本来の鮮やかさが失せず、それが画面の明るさに繋がっているのです。

たとえばモネの風景画に「雪」が登場しますが、雪の白さが見事に表現されています。モネにかかると水墨画のような無彩色の画面にはならず、影色が「青」や「紫」であったり、明るい光の当たる部分にはごく少量ながら「赤」や「緑」さえ登場します。それらが離れた地点からはいかにもそれらしく、まばゆいばかりの外光が見る者を魅了します。これは点描画法の理論的な根拠である「併置混色」の効果です。

展覧会ではモネにインスパイアされた画家たちの作品も展示されていました。そこにはなるほどモネの追求した「光」とその表現のために使った様々な「色彩表現」からの影響を見ることができました。スーラも色彩理論を実践した画家ですが、モネの経験値が踏襲されているに違いありません。しかし、スーラはどうしても絵画というよりも実験的でありすぎます。しかしそのことがひょっとすると、絵=再現という常識的な図式を破っていく方向へと転換していった流れそのものかもしれません。さらにドランともなると「色彩」こそが絵画を成立させる最重要要素となっていきます。ドランにとっては空間や立体感は問題ではありません。絵画の方向性は描かれる物の再現というより、いよいよ純粋に色と形の追求へと向かっていきます。

特に、晩年の白内障を患ったモネの極端に荒々しいタッチは、絵画の常識を覆すようなパワーさえ感じましたが、抽象表現のジャクソン・ポロックなどもこうしたモネからの流れであると感じずにはいられません。

モダンアートの世界に至るまでの影響力を考えるとき、光を追求し続けた「モネ」の偉大さが身にしみます。

戸外であくことなく、目の前にある光り輝く世界を自分の絵画で表現しようとしたモネ。

今ではUVカットの化粧品や繊維が当たり前になっています。私などもそうした紫外線対策をしないとどうもお肌のシミが気になります。最近「○デイアキュビュー」の宣伝アンケートで目の紫外線対策について考えさせられました。今でこそ化粧品をはじめとするUVカット商品はたくさんあります。オゾン層破壊が原因で悪玉の紫外線が以前よりも増して降り注いでいるという事実も知っています。

ではモネについてはどうでしょう。19世紀から20世紀をまたいで、日がな戸外で光を追求し続けた訳ですから彼の目も紫外線の影響を少なからず受け続けたに違いありません。晩年、白内障を患いながらも描き続けた彼の作品を見つけたとき、作品に釘付けとなり思わず涙がこみ上げてきました。記憶を頼りにパレット上の色を画面に置いていく日々。画家の苦悩は図りしれません。悩みながらも描くことをやめなかったモネの心中はいかなるものだったのでしょうか。

筆致の大まかさに、いつもの観客の雑音には「短時間で描いたんだろう」というものが多かったのですが、「睡蓮」の連作では、光が刻々と変わってしまうので、ジヴェルニーの庭にキャンバスをいくつも置き換えて時間帯ごとに何日も継続して描き続けたというモネ。常に時間との闘いを演じていたのだろうと思います。夕日が沈むオレンジに染まる画面。戸外では一瞬の出来事ですが、それを何度も何度も日を追って追求していくあくなき執念には頭が下がる思いです。

こうして、若冲の時は間近でべったり時間をかけて堪能する鑑賞でしたが、今回は一定の距離をおいての鑑賞形態を取りました。どちらも浸りきることができたのには大満足でした。

光溢れる明るい世界をキャンバスに再現する手法をこの世に示してくれた偉大な画家モネの目は確かだったようです。今回そのことをお伝えできたら幸いです。

さてさて私の方ですが、モネ展のあと、「21-21デザインサイト」の「チョコレート展」を観ました。とっても楽しい展示でしたよ。これこそ気楽にご家族や友人はたまた恋人と連れだって行かれたら楽しさを共有できる展覧会です。

私?一人でクスっと笑ったり、おおっと感嘆したりとちょっぴり淋しかったかな。会場の雰囲気は「金沢21世紀美術館」の展示と通じるところがあってなかなかおしゃれでした。入り口でチョコレートをいただいたときは「新しい!!」と感じました。それこそ味覚も含め五感で楽しめる展覧会です。(館内での飲食は×ですけど)

京都ももっとがんばらないと!!って感じました。
来週学年末試験を迎える1年生。
今回の試験範囲には「色の学習」が入っています。

「色の見えるわけ」から「色の感情効果」、「色の三属性」、「混色」、「対比」までがその学習項目です。

学習したのは後期の初め頃ですので、テストまで結構時間が経っています。そこで今日はテスト対策として1時間強、復習の時間をとりました。

「色の三属性」については、先日参加したモニターレッスン用のツールを使ってみました。

実は模擬講義で作ったツールは3種類です。

その一つが身の回りにある物を赤・黄・緑・青(青紫)に分類した写真(先日紹介した「カラーウォッチング」で見つけて使わせて頂きました)です。

「赤」にはリンゴ・イチゴ・トランプ・マッチ…などが赤い布に置かれています。
「黄」にはレモンや黄色の糸、ペーパータオル
「緑」はコサージュ、オリーブ石けん、瓶、ブックカバー
「青紫」は瑠璃色の花瓶、宝石の類…

見事に色みで分類して写真に収まっています。

そしてその中に存在する微妙な色相の違いをピックアップし、さらに色相を細かく分類していく…というシナリオに合わせたようなマンセル100色相の色相環。これが2つ目のツールです。北畠先生の「色彩学貴重書図説」からとらせていただきました。

これは生徒の目を釘付けにしました。黒板に貼ると色帯の輪っかでしかないのですが、近くで見ると100枚の境目が見えて確実に驚きを与えます。さらに、200色相ぐらいは見分けがつくらしいとの説明を加えておき、あとから出てくる「色立体」と組み合わせて考えると、身の回りにある物体色のほとんどが色立体におさまるというイメージを持たせることができます。

その後、明度、彩度を無彩色9段階と「赤」の各トーンのカラーカードにマグネットをつけたツール(3つ目)を使って、まずは明度を無彩色の明度スケールとの対応関係で理解させ、その後彩度を押さえ、改めてカラーカードを明度・彩度で位置づけていくという模擬講義でやった展開も実践してみました。

やはり、こうした自分なりに練った展開で生徒が惹きつけられていく様子を見るのはやっていてうれしいものです。
テスト前の復習といいながら、前回より生徒にはよりわかりやすい授業ができたものと我ながら思います。

生徒は一度学習したからといって定着するものではありません。手を変え品を変えて繰り返すしか覚えさせることはできません。それでもなお今回どのくらい定着が図れたか…。

とにもかくにも、こうして覚えさせた内容があって次のステップへと活かされていきます。デザインや絵画での色遣いについて、今後は専門用語で指示や助言ができます。それを生徒自身が理解して制作に生かしていける…。このような流れを毎年つくっていくわけです。

それにしても、こうした学習は小学生にも下ろしていきたいところです。
日文の図工の教科書5・6年下にはすでに「彩度」ということばが登場しているくらいですから…。
定点観測。まずはこちらの写真から。
f0008085_2123396.jpg

私は通勤途中に通るこの並木に季節の変化を感じ、魅力ある風景として注目してきました。

裸ん坊にされた街路樹の隙間から…覗いていますね。
そうです。最近の環境色彩注目事例として防護柵の色彩がどう変わるかを取り上げました。

環境色彩 More
by my-colorM | 2006-12-27 21:52 | 色の話
毎月16日は私にとっては重要な日なのですね。

“色といろいろ日記”と銘打っておきながら、今更のように気づきました。

きっかけはうさみさんが最近ブログで教えて下さった本を手に取ったからです。

改めて紹介します。

葛西紀巳子氏の「色彩環境へのまなざし60のメッセージ」蜜書房発行

です。

この本は氏の2001年から2006年の毎月16日を発行日に配信された記事「いろの日ニュース」を集めたものですが、カラリストとしての理想と日々の色への思いが素直な感じで書かれています。「いろの日ニュース」は葛西氏のHP「色彩環境計画室」の「NEWS」ボタンをクリックすると読むことができます。記事は気負いを感じさせない自然体の文章で、長くもなく、しかも毎回読み切りですのでそれをまとめた本はタイトルからスッと入れますし、逆にスッと抜けられる、そんな感じの仕上がりになっていると感じます。

毎月一回「色」をテーマに配信する、このことを途切れることなく5年間続けて来られました。まさに「継続は力なり」ですね。氏はさらに5年の後、2冊目でお目にかかりたいと述べ、継続を宣言しています。素晴らしい!

私もこの間様々な角度から色を学んできました。おかげで少しずつ街の色にも目が向くようになりましたし、あれこれと考えることも多くなってきました。

というわけで、葛西氏を見倣って私も微力ながら“今日は「いろ」の日”を始めようかと思います。

16日は私どもの給料日だったりしますので、ある意味区切りの日。葛西氏のような5年という実績はありませんので、継続を誓うなんてことはとてもできませんが、ちょっとした目標として始めてみますね。

となると…11月16日は「いい色の日」。12回目が書かれているのかな。

もちろん、他の日にもいろいろと書いていきますので、今後ともよろしくお願いしますね。

追伸:葛西氏のHPで配信日を確認しました。16日を越えても大丈夫みたい。要は内容!ということですよね。もっともっと勉強しなくては!頑張らなくっちゃ。
カラコの試験が終わって、試験会場近くの「クレーム デ ラ クレーム」というシュークリームがおいしいらしいカフェに入りました。(追記:後から思えばシュー皮のポテトサラダがついていましたっけ。)

ゆっくりカラコの自己採点をしようと考えたのでした。

店内は壁にしてはやや彩度の高い黄で階段も類似色相のYR系。上り面の縁は明るい目の木枠がはめ込まれています。12月ですので階段の端に等間隔でポインセチアが置かれているのですが、濃い緑のラッピングがされていて、いかにも鮮やか。華やかに店内を彩っています。初めて入ったお店でしたがオシャレな色遣いで大変気に入りました。

禁煙席は3階中2階(M3F)にありました。椅子が赤とグレーと生成の座面。同色のカバーがされているのでしょう。それぞれ違った色でくるまれた椅子が一つ一つ隣り合っていて強い配色効果を生んでいます。いかにもイタリア製の家具で統一されているようです。(追記:どうやら椅子などのファニチャーは新築開店当初とは違っています)左右に配置された縦長の開口部はガラスでそれぞれに背の高い観葉植物が置かれ、その間は明るい木質の枡状のオープン棚。クリーム色の壁面に赤を基調とした色鮮やかな飾り物が置かれています。

席を決め、ランチのコースメニューを注文しました。本日のメインのおすすめは「ホワイトクリームソース入りオムレツ」とのこと。

早速、テキストと終わったばかりの問題を膝の上に広げ、まさかのスーパーグラフィック事例の設計者を探し出す作業を始めました。わかったランクロをのぞけば当たったのは一つだけ。いきなり暗雲が立ちこめました。

そこへ、スープが登場。「ボルシチ風スープです。」ふと覗きましたが普通のコンソメスープに見えました。

「お好みでホワイトクリームをかけて召し上がってください。」そう言い残してウエイトレスさんが立ち去ったときにはテキストに目を落としていましたのでそのときは何とも思いませんでした。

スープが冷めてはもったいないとテキストと問題を一旦しまい、件のスープにかかりました。
一口すするとおいしいコンソメのお味。逆光だったためか色は黄金色と思いこんでいました。それでもスープにホワイト?なんだか珍しいのねと手に取りすこしかけてみました。スプーンでクルクルとかき混ぜてみてびっくり。イチゴミルクのようなピンクのスープに変身したのです。

ボルシチというのは知っていたのは名前だけ。具を見ると赤かぶのような野菜が入っています。本来はビーツという野菜が具材だそうですが、「~風」というところを見ると赤かぶなのかもしれませんね。赤紫の色素がスープに溶け出していたようです。はじめは赤いスープには気づきませんでしたが、ホワイトを入れてようやく気がつきました。大好きなピンク色のあたたかいスープ。色彩だけを見ると甘いイメージですがコンソメベースのまろやかなお味です。色とお味を堪能いたしました。

試験の出来はいまいちぱっとしませんでしたが、このピンクのスープが今日の一日に華を添えてくれました。私という一人のちっぽけな人間が色によって癒された瞬間でした。

やっぱり色は奥深い。まだまだ勉強は終わらない。これからもずっと続きそうです。
by my-colorM | 2006-12-03 18:53 | 日記