絵の具を考える【U氏との出会い3】

教員免許更新講習の一日目に、全部改正された教育基本法の特徴を解説する講義がありました。その講義の中で、講師から、「日本の伝統文化を継承すること」が、私たちの教科、美術との深く関係がある箇所だと言われました。

ならば、日本の伝統文化とは何か。その、当然説明の出来そうな問いが、案外あやふやなものであることも、今回の更新講習の四方山話として提供されていました。日本の文化、芸術を突き詰めていったとき、古来から引き継がれてきた日本固有の文化というものはなかなか見つからないのだと。

日本の文化は、文字はもとより、宗教、建築、芸能、美術、その他もろもろ、多くが中国大陸や朝鮮半島を通って(主として渡来人を介して)、伝播してきたものであるのは明白です。中には平安時代や鎖国政策がなされた時代に独自の発展を遂げたものもありました。

しかし、明治維新に伴う文明開化以降、欧米化・近代化が急激に進むと、中国大陸、朝鮮半島はもとより、オランダやポルトガルといった西洋をも含む異国から伝播し、醸成・発展して花開いた江戸の文化は、古く遅れたものとして、先進的な物や技術・思想に駆逐され、多くが廃れていきました。もちろん、欧米化のもと、工芸品を中心とした日本の優れた文物が、ヨーロッパに紹介されて注目を浴び、独自に、急速に発展した分野もあるにはありますが。

また、明治政府の神道国教化政策のもと、廃仏毀釈が進められ、破壊・遺棄された仏教美術も多く、文化的な損失は計り知れないといいます。さらに度重なる戦争の混乱下、焼失、散逸を余儀なくされたものも少なくないことでしょう。

さて、U氏により再現された土佐光起の色見本のことを、前回取り上げました。氏も、伝統という言葉に意見がお有りのようで、日本の伝統美術とは何か、日本画とは何かについて、様々な切り口で語られました。

まだまだ不勉強な私の頭の中で、氏のお話は実際、消化しきれていません。もやもやしたままでは何だか気持ちが悪い。そこで少し頭を切り替えるつもりで、「日本画とは」で検索を試みました。そこで見つけた山種美術館のHPが秀逸!日本画に関する、アカデミックな解釈として、これに勝る解説は他に見つかりません。とてもわかりやすい解説でしたのでURLを紹介させていただきます。まずは一読を。



山種美術館「日本画とは」

さて、U氏のお話にもどします。氏は、このような日本画のアカデミックな解釈に対して異論を展開されたのです。特に、油絵を主とした洋画と、これまで○○派として伝統的に続いてきたいく筋かの流派との間を分類する材料に、「画材の違い」を取り上げている点に違和感を持たれているようでした。

氏は、今も昔も、日本画だけが、岩絵の具や泥絵の具を膠で基底材に接着するものではないはずだと力説します。「何故なら、大昔は、…」と言って、一つの石をどこからか運んできて、ご自分の手元にコツンと置かれました。

「人と獣の決定的な違いが、この石をどう使ったかにあると私は考えているんですね。」
と。


何が展開して行くんだろう。氏との楽しい日本画談義はまだ始まったばかりです。

つづきは、また次回に。


by my-colorm | 2014-08-20 22:48 | 色の話