絵の具を考える【U氏との出会い2】

U氏は、私に膠のサンプルを見せる前だったか、水簸(すいひ)について語ってくださった。私が水干絵の具を使うと言ったけれど、どうやらそれとは違うものを指しているらしい。

水簸を辞書アプリで調べると「固体粒子によって水中での沈降速度に差があることを利用して、粒子の大きさ別に分ける方法。陶土の調整や、砂金の採取などに用いる。」とある。具体的な方法は思いもよらないが、お土産にいただいた色粉を見、資料を読み解くと、どうやら、鉱物などの顔料を砕いたものに水と膠を加えて、(多分)乳鉢で擂り、上澄み液を濾し、乾燥させる方法で、粒の大きさの違う顔料を選り分け、取り出すことを云うのだと取れた。顔料は、粒子が細かくなるほど白っぽくなる。つまり、明度が増し、彩度が下がる。乾燥後、ふるいに掛ければ、細かい粒子の明るめの顔料が得られ、残った方はそれよりも鮮やかなものとなるという理屈だ。

続いて氏が見せてくれたのは、土佐光起が残した、土佐派の絵画指南書の中にある色づくりのレシピに基づいて作られた、ベニヤ板半分くらいの大きさの「色見本」標本である。これも今思えばくらいのことで申し訳ない。先の資料を後でじっくり読ませていただいて、より実感が湧いてきた。おそらく光起が書いて残したままの順番で、見本は並んでいるのだろう。

お土産にいただいた資料は、土佐派の絵師達が用いた色そのものと、絵の中で、どの部分に用いるのか指示されている。勿論、目標色は光起の絵画中に求めたのだろう。文書を読み解き、試行錯誤をしながら忠実に色見本を作成されたに違いない。歴史的に古い作品の経年劣化、褪色をも考慮しただろうから、その点を想像するにつけ、今更ながら、氏の研究熱心さを十二分に伝える仕事だと感じる。



U氏の問いは、「日本画とは何か」に集約されると私は思った。



次の回は、そのことを、私なりの解釈をさせていただきながら、お伝えしたいと思います。



by my-colorm | 2014-08-20 17:33 | 色の話