北畠耀先生の『色彩学貴重書図説』が届きました

あうらさんから出版の予告をいただいていました
北畠耀先生の『色彩学貴重書図説』が
きのう手元に届きました。

北畠先生のこだわりが随所にちりばめられたフルカラーの美しい装丁の本です。

なにより昨年受講したAFT色彩講師養成講座の第一回の講義「色彩学概論」で
先生が足早に駆け抜けられた貴重な色のお話が図版や解説で思い起こすことができるのが
大変うれしく、また新たに学ぶことも多く、魅力的な一冊です。

たとえば、書物やお話だけではよくわからなかった内容に、
ゲーテのニュートンに対する反論というのがあります。

『ニュートンはプリズム実験によって、色や光を科学的に解明しようとした。
それに対する反論として、ゲーテは「色は、光と闇、白と黒の間に生まれる」として、
プリズムを覗き込む実験を試みて反論した。』というくだりです。

プリズムを覗くことでどうしてそう考えたのかという疑問を解消する図版が
今回の『色彩学貴重書図説』にはきっちり載っています。

一見、印刷のずれではないかと見まがう、見つめると目が潤んでしまうような図版なのですが、
なるほど、白と黒との間に色が生まれているとゲーテが考えたのも頷けます。


さらに、この本では複製術として、
版画・印刷・職布・写真を挙げてその開発者の功績に触れていますが、
写真術の出現と美術界の関係を興味深く取り上げています。

それによると、かのアングルがフランス政府に写真が不正競争業であるという理由で
禁止を求めて訴えた(1846年)が、
10年後には写真家ナダールがとったヌード写真を使って『泉』を制作したとあります。

印象派の旗手モネもポータブルのボックスカメラを4台持っていたという記述もあり、
写真が画家に与えた影響について興味深く考察している部分は大変参考になりました。

20世紀の美術界ではダダ、シュールレアリズム、抽象絵画など非写実の流れが台頭し
写真と画家とは完全に乖離していった点もきっちり指摘しています。


さすがに、読んでも、図版を見ても楽しい一冊ですが、
ただ若干残念な点を指摘させていただきます。

初版に付き物といっては贔屓目でしょうか、誤植がやや多い印象があります。
正誤表が出ていますが、それ以外にも気づいてしまい…。
校正の段階で解決できたであろう部分がかなり残ってしまった感があります。
上でも述べたように本当に図版が豊富で装丁の美しい本だけに訂正を入れがたく…残念です。

とはいえ、色彩を学ぶ者にとっては必携の書に挙げるべき内容であることに間違いありません。
なので気の長い方は第二刷を狙われたらその点がきっと改善されているでしょう。

でも色彩の本はベストセラーにはなかなかなりにくいでしょうから
今のうちに購入するというのが得策かもしれません。

これは各人でご判断ください。

私としては‘おすすめ本’として挙げておきます。

日本塗料工業会のサイトでは「色彩学歴史年表」も合わせて購入できます。
両面印刷の美しいリーフレットの形態でかなりほしいかも…。
http://toryo.or.jp/jp/book/s-bpc.htmlを一度チェックしてみてください。

どなたか書籍と一緒に私の分も購入していただけると嬉しいのですが…。ダメ?
by my-colorM | 2006-05-14 17:19 | 色の話