由々しき曲解“コロンブスの卵”

3年生の題材で、『デザインの力』として、ユニバーサルデザインを核に、リ・デザイン、エコデザイン、社会に役立つデザインを取り上げています。

ベースは、昨年、前任校で導入した『みやこユニバーサルデザイン』です。昨年は、2009年グッドデザイン賞を関連資料として取り入れました。以前のデザイン学習でピックアップした「グッドデザイン賞2008年セレクト」を2009年版にセレクトし直して発展させたものです。グッドデザイン賞アワードのHPから、コピーライトの指定の無いものを使わせていただいてpptのスライドを作成しました。この東北大震災でも活躍中の、あの「ラップポントイレ」もその過程で見つけたものでした。今年度も新任校で取り入れ、「デザイン」を身近に、また、人智の結晶として扱い、生徒達に未来への希望や社会との豊かな関わりを実感させていきたいと考えています。

その2009年グッドデザイン賞受賞製品の中に、『コロンブスのまな板』というのがあります。これは、通常なら直角にカットする側面に傾斜をつけた新発想のまな板です。その形状が故に、スポンジにて2度こすり、2面を水でジャーっと軽くスイングさせて流せば洗浄終了、かつ、シンクに立てても、水切れがよく、接触面も狭いので乾きが早い。つまり、まな板に求められている『清潔を保ちやすい』という利点を実現しています。従来品の形そのものに着目し、形状にちょっとした工夫を取り入れるという着想、発想の原点を感じた好例としてセレクトさせていただきました。まさに「コロンブスの卵」の逸話通りです。

その着想、発想を自ら「コロンブスの卵」を転じて「コロンブスのまな板」と称したのだけれど、キミ達、そもそも「コロンブスの卵」って、知ってる?

そう尋ねたときに、クラスの半分も手が上がらない。そこで、私は問うてみました。

「卵って、立つと思う?」と。

すると、キョトンとする面々と、「立つらしいな」みたいな顔と、もう一つの勢力…。

その勢力とは、「先生、コロンブスの卵って、つまり、その、卵が立つかってところで、みんながあーだ、こーだ言って無理や…、みたいになったときに、コロンブスが、カツって底をツブして立てて見せたんやんな」というもの。

これには、度肝を抜かれました。

「違うで!それは絶対に違う!私もやってみたことだし、それは何があっても譲れへん!」

半ばムキになって対抗する私がいました。

私の反論は、小学校時代だったっけ?国語の時間に学んだ事を、実際自分で検証した経験が語らせています。

誰もができそうにないと考えていた卵を立たせるという命題を、重心と卵にある細かい突起の存在で可能だとし、実際に立たせて見せた、コロンブスの柔軟で科学的な思考と行動力を紹介した論説文だったのです。その文章に感銘し、自ら実験してみた子ども時代の素直な私。知の素晴らしさを身をもって感じ、勉強好きになるきっかけにもつながったと思います。

にもかかわらず、なぜか、コロンブスが底をツブしたことになっている現代っ子。それも決して低位生徒ではなく、クラスをリードしている生徒が、私の説明に納得せずにいつまでも熱弁をふるう。なんだ、この子達は…?

そんなごまかしの「コロンブスの卵」では、それを引用した「コロンブスのまな板」が霞んでしまうではないか!

そこで私は子どもの頃にやった実験(簡単)を我が家の台所でもう一度やってみました。

もちろん、「卵は立つ」のであります。
f0008085_23194735.jpg

影でお気づきの事と思いますが、後ろの食洗機からは離れております。
種も仕掛けもありません。卵だから立つのです。ハイ。

デザイン性のよさに気づかせるこの授業。そもそもこうした安直、ごまかしのお笑いを信奉する目の前の子らに、自分や自分以外の誰かのために、真摯に取り組む姿勢を浸透させる使命を帯びています。

どうやら真実で迫るしかないようです。
by my-colorM | 2011-05-22 20:47 | 日記